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MUSEUM探訪 昭和大学 上條記念ミュージアム

MUSEUM探訪 昭和大学 上條記念ミュージアム

臨床医の育成に尽力してきた先人たちの物語

東京帝国大学を卒業し、その附属病院に勤務していた上條秀介が医学専門学校の創立を決意したのは32歳のとき。「学問や研究に重きを置く大学卒の医学士たちは患者の治療ができない」ことを関東大震災の救護活動で疑問に感じ、また地方の病院では医師が不足しているのを憂いてのことでした。

「現下の国民医療に最も必要なのは、病気やけがを治せる誠心誠意の臨床医家であり、その育成に徹する医学専門学校である」。そして「立派な医者をどしどし社会に送り出す」その信念のもと、1928年昭和大学の前身である昭和医学専門学校が誕生しました。

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開校時の附属病院(1928年頃)
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昭和初期のドイツ・メルク社の生薬レファレンスコレクションの陳列棚。昭和医専の校章が上部に彫刻されている。
(生薬標本の実物は、3号館生薬標本室で展示)

当時の校地はススキが生い茂る湿地帯で地盤が弱く、建設工事は難航、雨量が多いと近くの川は溢れて冠水しました。それでも開校後は次々と校舎や病棟が建ち並んでいきました。戦禍に苦しみながらも、戦後すぐに医科大学に昇格し、現在は4学部を擁する昭和大学へと発展しました。

昭和大学上條記念ミュージアムは2019年に創立90周年事業の一環としてオープンし、創立の理念とともに発展してきた大学の歴史を広く伝えています。

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メス・ピンセット・ハサミなどのセット
(1937年)
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1928年頃の学生の講義ノート

創立当初の学生たちが使った教科書や医療器具、学生証、制帽などの展示品には、百年近い昔の向学の息吹が感じられます。また報国隊の腕章、出征する学生に渡された上條校長らの寄書が入った日章旗、東京空襲後に長野県で授業を開始するという通知書などには、戦時下のきびしい状況が偲ばれます。旧大学病院の常夜灯や玄関ライトは、空襲にも耐え、長く大学のシンボルとなっていた建築の威容を彷彿とさせます。

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戦地にいる卒業生を励ますために作られた絵葉書と報国隊の腕章

上條秀介ゆかりの展示の前に並んでいる二つのソファー。これは上條秀介夫妻が自宅で愛用していたもので、修復されて来館者が座れるようになりました。ロビーでは1953年の卒業生たちが寄贈したホールクロックがいまも時を刻み、かつて使われていた品々は、なおここで身近に感じることができます。受け継いできたものを創造的に活かしながら、先人たちの物語を伝えるミュージアムです。

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学祖上条秀介ゆかりの展示と愛用の椅子
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戦後昭和医科大学に昇格した1期生から
卒業記念に寄贈されたホールクロック

DATA 昭和大学 上條記念ミュージアム

◎開館日:火曜日・金曜日(上條記念館の休館日を除く)
◎開館時間:午後1時~午後3時
◎見学方法:完全予約制(無料)電話で仮予約し、申込書を送付(詳細HP)
◎アクセス:東京都品川区旗の台1-1-20
      旗の台駅東口より徒歩7分/昭和大学上條記念館 地下2階
◎T E L:03-3784-8031
上條記念ミュージアム公式サイト

掲載冊子

こちらの記事掲載冊子は「ForMマガジン 03」です。

※2023年12月時点の取材内容

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昭和大学
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幅広い学部間交流と多彩な実習・講義で
“人々の為に常に真心を尽くす医療人”を育成
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