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Special Interview
新生児の脳性麻痺を減らすために、論理的思考と演繹的推論を駆使する産婦人科医。
板倉 敦夫 氏
【順天堂大学】医学を志す受験生には 人の命を預かる責任と覚悟を持ってほしい
順天堂大学医学部附属順天堂医院の脳神経内科は、パーキンソン病を中心に年間1,000 人以上の入院患者を受け入れ、年間延べ7万人もの外来患者を診療している。この診療実績は国内トップであることはいうまでもない。“パーキンソン病といえば順天堂”といわれているゆえんだ。診療だけでなく、神経難病の研究においても日本屈指の医療機関として知られている。
こうした実績が評価され、順天堂医院脳神経内科は米ニューズウィーク誌「世界のベスト診療科ランキング2021」で世界10位にランクされた。文字どおり、世界レベルの脳神経内科機関として認知されているのである。
脳神経内科を率いているのが服部信孝教授である。服部教授はパーキンソン病研究の第一人者として知られるが、「外来では一人で一日1,000人くらいの患者さんを診療していた」というように、ずば抜けた臨床実績も誇っている。「当科の医師には常日頃、フィジシャン・サイエンティスト(研究者の目を持つ臨床医、臨床医の目を持つ研究者)であれといっています」という服部教授だが、自らそれを実践してきただけに説得力がある。
「脳神経内科はフィジシャン・サイエンティスト集団として、パーキンソン病をはじめとする幅広い対象疾患の研究と治療の先導的役割を果たしていると自負しています。さらにその実績を積み重ねて、世界のベスト診療科ランキングを第3位くらいまでアップさせたいですね」と服部教授はいう。
服部教授が医師を目指したのは、高校生のときに映画『赤ひげ』を見たのがきっかけだったという。黒澤明監督の『赤ひげ』は、徳川幕府が設けた貧民のための無料医療施設・小石川養生所を舞台に、そこに集まる病人と医師との交流、三船敏郎扮する老医師“赤ひげ”と加山雄三扮する若き蘭方医との師弟の物語を通じて、人間愛と若い医師の成長を描いた作品である。
「私は基本的に人が好きなんです。人が好きだから、人と接したり人のためになるような仕事をしたいと考えていました。赤ひげは単に病気を診るだけでなく、患者さんの家族や生活・心にまで思いを寄せながら病に向き合っていたと思います。そういうところに感銘を受けました」
こうした赤ひげの姿勢は、「我々神経難病の克服を目指す現代の医師にとっても忘れてはなりません。患者さんの生活や心まで知ろうとしなければ、真に患者さんの立場に立つことはできません」と服部教授。
例えば認知症患者さんの小銭入れ。症状が進んでいくとこれがだんだんと膨れてくる。買い物などのとき、細かい勘定ができないのでお札を出して釣り銭を貰い、それが貯まっていくからだ。このように、「患者さんの行動や生活を知ることによって貴重な情報を得ることができます。そうした視点に立つことが重要なのです」
服部教授は順天堂大学の卒業生でもある。それだけに愛校心は人一倍強い。「順天堂大学の良さは、なんといっても教員と学生との距離が近いこと。自由でのびのびした校風も大きな特長です。こうした良さを生かしながら、教職員と学生がワンチームとなって順天堂のブランドカをもっと上げていきたいですね」と熱く語る。
医学部には6つの附属病院があるが、お茶の水にある順天堂医院は一日の外来患者数が国内トップクラスを誇る。こうした附属病院での臨床実習で様々な症例を学ぶことができるのも大きな魅力である。
順天堂大学には医学部のほか、スポーツ健康科学部、医療看護学部、保健看護学部、国際教養学部、保健医療学部、医療科学部、健康データサイエンス学部、薬学部があるが、この4月から医療科学部が新たに加わった。「いずれの学部も医療にフォーカスを当てており、学昰である『仁』(人の気持ちを思いやり、慈しむ心)をコアにしながら理念である『不断前進』を実践できる充実した大学になってきました」と服部教授は胸を張る。
“よく学び、よく遊べ”とは学生に対してよくいわれることわざである。だが服部教授は、「医学部の学生にはそれは当てはまりません。“よく学び、よく学べ”が医学部学生に求められる姿勢」だという。医学を志すということは、人の命を預かる職業に就くということであり、そこには“遊ぶ”という選択肢はないのである。
「勉強ができるから医学部を目指すというのではなく、本当に人を助けたいと思っているのか、責任を持って人のために働く覚悟があるのか自問してほしいですね。そういう思いで医学を志すのであれば、順天堂は大歓迎です」
服部 信孝(Hattori Nobutaka)
はっとり のぶたか
順天堂大学
学長補佐
医学部神経学講座 主任教授
こちらの記事掲載冊子は「ForMマガジン 01」です。
※2022年4月時点の取材内容
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