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中塚先生 伝授! 志望理由書・小論文・面接の ”キモ”

中塚先生 伝授! 志望理由書・小論文・面接の ”キモ”

私立医学部受験で学科試験に併せて重要視されるのが、「志望理由書」「小論文」「面接」。
そもそも、狙いや目的は何なのか。学科との違いは? 攻略のポイントは?
志望理由書と小論文、面接のギモンについて、グラダス教育総合研究所の中塚先生と一緒に解いていこう。

多様な医学部入試

医学部入試の種類には、「一般入試」「推薦入試」「総合型選抜」「地域枠入試」など、さまざまな入試方式があります。

基本的に「学力」そのものの重要さは変わりません。医療者になるためには膨大な知識を得るだけでなく、生涯学び続けなければならず、そのための能力をみるのが「学科試験」であり、また、学力向上といった成功体験は必要です。

ですが近年は、学科試験の高偏差値化を大学側が敬遠する流れや、年内に「早めに合格を決めたい」といった受験生の心理から「推薦入試」や「総合型選抜」が注目されている面があるようです。

こうした状況において、受験のポイントになるのが「志望理由書」「小論文」「面接」でしょう。

受験ガイド2025 中塚チャンネル 多様な試験イラスト

志望理由書・小論文・面接の“キモ”は?

ひと言でいえば、これらは「医療者になるための資質」を見るための試験です。

学科だけでは、その人が医療者に向いているか、そのための知識や関心、コミュニケーションが長けているかなどは測ることはできません。

なぜ自分は医療者になろうと思ったのか。医療のどんなところに惹かれるのか。現在の医療の課題は何か、自分だったらどう向き合い、解決していきたいか。

学科試験にはない「問い」に対して、自らをベースに、どう応答できるかを見るのが「志望理由書」「小論文」「面接」なのです。

志望理由書

大学によって「エントリーシート」など、名称や記入文字数などの違いがある。

ここで問われるのは、どれだけ医療について関心・興味があり、なぜ医療者をめざしているのか、そして、なぜこの大学に入って学びたいか、でしょう。
相手(大学)の好きなところ(なぜこの大学に入学したいのか)と、自己アピール(自分はこの大学で何をしたいか)を伝える、言わば大学に対する『ラブレター』だと思って、限られたスペースの中で端的にわかりやすく伝える練習をしましょう。

小論文

試験時間は約60分で、文字数は約600字が一般的。

テーマは大きく「人文学系」と「医療系」の題材に分かれます。いずれも「問い」を理解し、正しく説明する応答能力が問われます。例えば医療系ならば、末期医療や遺伝子医療など、倫理的な観点も含めた出題があります。日ごろからニュースに関心を示し、自分なりに問題意識を持ち、説明できるか。医療者に求められるコミュニケーション能力と論理的思考力を見極めるための試験です。

面接

近年では1対1が主流だが、まれに集団面接なども。

志望理由書、小論文で見てきた資質を対面で最終チェックするのが「面接」です。
人となりを見て、応答する力、わかりやすく説明する力、いわゆるコミュニケーション能力と人間性を見極めます。大切なのは、誰かの意見だけではなく、自分なりの見解を加えて、相手(大学)に対して真剣に伝えられるか。面接の場合、早めに対策を始め、慣れておくことも大切です。

受験ガイド2025 中塚チャンネル 医師の資質イラスト

対策のポイント【志望理由書】編

学科試験と違って、志望理由書・小論文・面接は、授業の予習復習、参考書や塾でのフォローアップのような明確な対策が立てにくいものです。では、対策のポイントはどこにあるのか。
着実に準備を進めて行くために、第1ステップとなる「志望理由書」のポイントを理解しよう。

ポイント1

医学・医療について知り、学ぶ

大前提として医療に関心・興味があること。その上で現在の医療がどのような問題を抱えているのか。どのような改善策があるのか。医療の現場についてニュースやインターネットなどで調べて勉強しておくことが必要です。

ポイント2

自分がやってきたことを棚卸する

医療に関係なく、これまで自分が何をやってきたか、その経験で何を得たのか、何ができるようになったのかを整理しておくことが大切です。そうすることで自分の経験に照らし合わせ、自分の視点を交えながら考えることができるようになります。

ポイント3

人に説明する練習をする

誰かにどうしても伝えたいことがあるとき、人は一生懸命に話すはずです。相手のことを思い、相手がイメージしやすいよう、リアリティをもってわかりやすく伝えようとします。こうした練習を重ね、うまく説明できるようになれば、文章で書くことは簡単です。まずは友人や家族に何かを説明することから初めてみましょう。

ポイント4

自分に置き換えてみる

あるAという事象をBという別の事象に置き換えて捉えてみる、といった思考トレーニングはぜひやってほしい。一見、自分とかけ離れたテーマであっても、そうすることで自分なりの視点、自分はどう思うのか、などの表現力を磨くことができます。

ポイント5

他人にコメントをもらう

志望理由書を書いてみたら、家族や友人、先生など他人に見せてコメントをもらうことが大事です。コメント内容から、相手に何が伝わって、何がわかりにくく足りないか、論理的表現のコツが掴めるようになります。

最後にワンポイント!

学科対策に追われる終盤ではなく、早めに取り掛かるのが一番の攻略法です!

対策のポイント【小論文】編

第2ステップとなる「小論文」の対策ポイントについて整理しよう。

小論文は文章を「書く」、「書ける」ようになることととらえがちですが、志望理由書や面接同様に、学科試験では評価できない、“ひとと成りを見て、医者としての資質を見るもの”と、とらえ直すことができます。そのためには、書く以前にまず「応答能力」(問いに対して何をどう答えるか)を磨くことが大切になります。

ポイント1

「問い」を正しく理解する

一般的に試験時間は約60分、文字数は600字程度。テーマは大きく「人文学系」と「医療系」の題材に分かれます。限られた条件、テーマのなかで、充分なパフォーマンスを発揮するには、「何が問われているか」を正しく理解することが第一歩です。

つまり、与えられた課題文や設問をきちんと理解(読解)することが求められます。現代文の要約問題や説明問題を解くのもよいでしょうし、文章に適切なお題を付ける練習も役立ちます。

ポイント2

論理的に人に伝える

続いて、「問い」に対してわかりやすく「論理的」に述べるために、まずは身近な友人や家族にあるテーマについて説明することからはじめてみてはどうでしょうか。ここで重要なのは「どうしても伝えたい」という気持ちです。相手のことを思い、相手が想像しやすいように、具体的な表現や例を交えながら伝えようと工夫することですね。流れがつかめ、うまく説明できるようになれば、文章を書くことも容易になっていくのではないかと思います。

ポイント3

自分の経験を整理し、自分なりの視点を入れる

これまでの自分を振り返り、何を経験してきたのか、そこで何を得たのかを書き出しておくことです。経験したことだけではなく、そのときどのように考え、感じたのか。それが、小論文問題のテーマに当てはまれば、自分なりに自分の問題として考えることができるようになるのです。人文系のテーマなら、そのまま自身の問題として述べることができるのではないでしょうか?

ポイント4

置き換えて表現してみる

ポイント3で述べたことと重複しますが、自分の経験の整理は、小論文のテーマを「いかに自分事として捉えられるか」という点で有効です。「問い」に対して、自分の経験に置き換えて考えてみる練習はとても大事です。自分の経験だけでなく、ある事象Aを事象Bに置き換えて現してみるなど、一見、かけ離れた2つの事象であっても、捉える視点によって本質を述べることができたり、自分の考えが表現しやすくなるなど、思考力・表現力アップにつながります。

ポイント5

他人に添削をしてもらう

小論文を書いたら、学校や予備校の先生をはじめ、友人や家族などに読んでもらい、感想や添削をもらうことが大切です。自分ではまとめているつもりでも、文章がわかりにくい、同じことの繰り返し、内容が薄いなど、表現についてより具体的な評価を知ることができます。自分の考え視点を交えながら、論理的に展開できるようになるには早めに対策を始めるべきです。確実に上手くなりますし、必然的に志望理由書のまとめ方にも役立ちます。

最後にワンポイント!

学科対策に追われる終盤ではなく、早めに取り掛かるのが一番の攻略法です!

対策のポイント【面接】編

最後のステップは「面接」です。

面接は対策が早ければ早いほどよいと言われ、上達具合もわかりやすく、取り組み甲斐があります。志望理由書で記入した医療への想いや貢献したいことなど、より具体的に、わかりやすく論理的に、さらに「対面」でしか伝えられない熱意を伝えて自分をアピールしましょう。

ポイント1

限られた時間内にわかりやすく

志望理由書、小論文で審査してきた医療人としての「資質」を対面で最終確認する場が面接。近年、主流は学生1人でのスタイルですが、いくつか集団面接や、グループディスカッションなどもあります。

いずれにせよ、「問い」に対して、簡潔にわかりやすく説明する力が求められます。面接時間は限られていますから、自分の考えや視点を短めにまとめて述べる練習を重ねておきましょう。

ポイント2

模擬面接を重ねる

模擬面接形式で練習できるのがベストですが、身近な友人や家族を前に何かの問題について説明するのでも十分トレーニングになります。相手が想像しやすいように、具体的な表現や例を交えながら答えるなど、工夫を加えながら説明する力を磨きましょう。

面接は何より「慣れ」が大事ですから、早めにはじめるのがポイントです。

ポイント3

自分事として生き生きと語れるように

面接では、ただたんに「問い」のテーマに対して応答するだけでは不十分です。どんなに論理的なよくできた説明でも、表情に乏しく機械的な応対では相手はあまり聞く気はしません。自分の言葉で自分の経験や視点を交えながら、活き活きと語れるように準備できるとよいでしょう。

将来、医療人として患者さんに向き合う自分を想像しながら、練習してみるのも一つの方法です。

ポイント4

経験を整理し、問題に置き換えてみる

自分の言葉で語るためには、志望理由書や小論文の項でも述べた「自分の経験の洗い出し」が必須です。自分自身のキャリアに対する質問はもちろん、医療問題に対する論点や自分の考えを述べる場合にもこれまでの経験した場面に置き換えながら述べることで、よりあなたの「人となり」が相手に伝わります。

最初は難しいかもしれませんが、練習を重ねるうちに自然にエピソードを交えながら自分ごととして応答できるようになります。

ポイント5

相手にフィードバックをもらう

模擬面接など練習の際には、必ずフィードバックをもらいましょう。話すスピードや声の大きさといった基本的なことから、説明が長すぎないか、論理的に語れているか、例えのエピソードは不自然ではないかなど、内容についてより具体的な指摘をもらうことが大切です。

課題を踏まえながら、できるだけ回数をこなして、緊張せずに落ち着いて話せるようにスキルアップしていきましょう。

最後にワンポイント!

面接対策は慣れが一番、やればやるほど上達できる!

Profile

受験ガイド2025 中塚チャンネル プロフィール画像

中塚 光之介
Konosuke Nakatsuka

ルートマップマガジン社 グラダス教育総合研究所 所長、河合塾講師、大正大学専任講師。大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、2003年から河合塾小論文科講師(医系小論文、AO・推薦対策などを担当)。これまでに指導した生徒は約35,000人にのぼる。他、医系テキスト、全統医進模試プロジェクトを担当。主な著書に『採点者の心をつかむ 合格する看護・医療系の小論文』『採点者の心をつかむ 合格する小論文のネタ[医歯薬/看護・医療編]』(いずれも、かんき出版)など。2023年3月、『採点者の心をつかむ 合格する小論文のネタ[社会科学編]』(かんき出版)を発刊。
※肩書きは2024年6月取材時のもの

掲載冊子

こちらの記事掲載冊子は「私立医科大学受験ガイド2025」です。

※2024年6月時点の取材内容

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