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超えられない恩師との出会いが、日々の鍛錬と探求の原動力。

超えられない恩師との出会いが、日々の鍛錬と探求の原動力。

金沢医科大学舘先生プロフィール
舘 慶之 氏
Yoshiyuki Tachi
金沢医科大学
整形外科学 講師
※肩書は2024年6月取材時

医療の世界で社会に貢献したい―。

純粋なその想いを胸に、医学部受験を乗り越え、医学生として学び、患者さんのために今、それぞれの分野で活躍する先輩たち。先輩たちはどうして医療の道をめざしたのか。どのような大学時代を過ごし、医療人としてどのようにキャリアを重ねていったのか。第一線で活躍されている先生に、貴重なお話を伺いました。

物心つく頃から医師になることは必然、得意な理数系を活かし金沢医科大学へ

祖父から続く医師家系に生まれた金沢医科大学整形外科の舘慶之医師は、幼少の頃から何の迷いなく「自分は医師になるものだ」と思っていた。病院勤務が長かった父の働く姿を間近で見る機会はほとんどなかったが、「父と同じ小児科医になる」とぼんやりイメージしていたという。「大学受験も医学部一本」という潔さ。「自分は言葉よりも感覚的な人間なんです」と笑うが、自らの生まれた環境と素直に向き合い、取り組み、乗り越えてきた。

いつからか理数科目が大の得意に。高校も理数科に進学。塾に行かずとも数学、物理、化学は常に高得点だった。もちろん医学部受験には大きな強みとなった。その反面、文系科目が苦手で、英語や国語は平均点そこそこ。「もうセンター試験で苦戦することは予想できましたので、本命は私立医大でしたね」
そして、地元であり、かつて父も勤務した金沢医科大学への進学を決めた。高校時代は漠然としたイメージしかなかった医学部生。実際、入学してみると、新しい出会いがたくさんあった。中でも舘医師が夢中になったのが「アメリカンフットボール」だ。それまで部活経験はまったくなかったが、大学を機に運動部へ。

「当時はガリガリに痩せていて、周囲から『大丈夫か?』と心配されるほどでした(笑)」
練習を続けていくうちに体力もつき、身体も太くなってきた。同時にアメフトの魅力にどんどん惹かれていった。
「とにかく『準備』のスポーツなんです。各ポジションの役割が明確で、試合前は対戦相手を徹底的に調べ、対戦をシミュレーションしながら、チーム11人全員の動きを緻密に準備していきます。これが面白かった。とても新鮮で夢中になりました」
部員が少なかったため試合はいつもギリギリ。舘医師はディフェンスもオフェンスもこなした。3年次にはキャプテンも務めた。一人ひとりが切磋琢磨し、それぞれの役割を連携しながら果たす姿は、まさに「いまの『チーム医療』につながるもの」と舘医師はいう。

金沢医科大学舘先生
金沢医科大学病院からの眺望は、日本海や河北潟といった水辺の風景が広がる

実習での恩師との出会いが、現在の道へ

部活に明け暮れる毎日だったが、学習面でも仲間とのつながりは不可欠なものだった。試験対策や学習の進め方など先輩からアドバイスをもらったり、後輩に教えたりしながら一緒に高め合った。現在も整形外科で職場をともにする同級生とは一番仲が良く、試験前になると一緒に勉強したり、時には息抜きで一緒に出掛けたり、苦楽を共にした。
将来の進路については漠然と父親と同じ小児科医になるだろうと考えていた。ところが、5年次の臨床実習で杉森端三先生に出会って一転。整形外科医を志すようになった。

「それまで、なりたい医療人像というものが明確になかったのですが、目の前の杉森先生を見て『これだ!』と。患者さんへの対応や手技、僕らへの指導など、『この先生と働きたい』と瞬時に思ってしまいました」
自らを感覚的と評するのはこの辺りだろうか。しかし、今日まで続く整形外科医の道はこの日から始まったと言えるだろう。
翌年から「医師臨床研修制度」が義務化され、卒後2年間をかけて各診療科をローテーションする研修医制度が導人された。すでに整形外科への入局を決意していた舘医師にとってはもどかしい2年間ではあったが、ちょうど1年間米国留学していた杉森先生が帰国したタイミングで入局することになり、晴れて憧れの同じ職場に就いた。

当時の整形外科には股関節手術が専門で全国的にも有名だった松本忠美教授(現名誉教授)もいた。
「松本先生と杉森先生。このトップレベルの両名の手技を間近で見ることができたのはいまでも大きな財産になっています」とにかく心酔したのは2人の「手術が綺麗なところ」だという。
「術野の確保、出血の少なさ、メス裁きや縫合の細やかさ、時間配分、スタッフとのコミュニケーション、そのすべてにおいて無駄がなく質が高い。まさに『理想形』と言えるほどでした」
以来、ずっと舘医師の頭の中にはこの2人の理想の手術がある。それは、今でも越えられない高い目標として、ずっと強烈に存在し続けている。

金沢医科大学舘先生
金沢医科大学病院の膝関節専門外来での診療
金沢医科大学舘先生
日本で初めて導入したMFATの施術(患者さんの脂肪を使った膝関節の再生治療)

金沢医科大学ならではの距離の近さ

早い時期からベテラン医師の手術現場に立ち会えるのは、金沢医科大学ならではのメリットだろう。
「人数が多い医局では新人の頃はなかなか難しいでしょう。ここの場合、人数もコンパクトなので教授や先輩医師との距離も近く、入局当初から間近で最前線で活躍されている先生方の手技を見ることができる。私自身とても勉強になりましたし、成長につながっています。この環境に感謝しています」
こうした距離の近さや風通しの良さは、臨床研究などにおいても同様で、他診療科の教授陣や大学病院と連携した研究も頻繁に行われている。大学院でも病院勤務を継続しながら講義の受講や論文に取り組めるなど、「希望すればいろんなチャレンジができる環境」と舘医師は語る。

現在、膝関節治療を専門分野とする舘医師は診療、手術、外部の連携病院での診療など、多忙な日々を送る。その一方で数年前から先端の再生医療を取り入れている。膝関節再生医療外来(MFAT)を開設し、新しい治療法にも積極的に取り組んでいる。「患者さんの脂肪を吸引し膝関節に活用する海外キットを使った再生医療で、自費診療になりますが、患者さんの負担を軽減する新しい治療法として、さらなる選択肢になります」
整形外科医の魅力について、舘医師は「患者さんのQOL (生活の質)を日に見えて変えられるところ」と語る。

「初めて病院に来られたときは車椅子に乗っていた患者さんが、手術を受けて退院した後、元気な姿で外来に自分の足で歩いて来られたときなどは本当に嬉しいですね。この仕事をやってて良かったなと(笑)」

金沢医科大学舘先生
整形外科の診療チームで患者さんの症例についてカンファレンスを行う

医師にしかできないことを極めるために、当たり前のことを常に緊張感を持って

患者さんの笑顔に会うために。常に意識するのは「基本を怠らない」ことだと強調する。
「ある程度の経験を積めば、手順どおりにやることで手術はそれなりにできます。だけど、僕らは医師にしかできないことをやらなければいけません。それなりをめざすのではなく。そのためには基本を当たり前にやれること。それがプロだと思います」

後輩たちにも常に基本の大事さを伝える。メスの入れ方、糸の結び方など、自分たち医師にとっては毎日の仕事だが、「患者さんにとっては、手術は一生に一度あるかないか」の出来事。
「それを自分たちに任せてくれているという重みと責任があります。一生懸命でなきゃ駄目。当たり前だと思っている基本的なことこそが一番大事。そんな姿勢を実習に来る学生にも伝えられたらと思っています」
2024年1月1日、能登半島を襲った大震災。金沢医科大学病院では被害に遭った患者さんを600人以上受け入れた。特に災害直後は外傷患者が多いため、現地入りしている災害派遣チーム(DMAT) からの連絡を待ち、体制を整え、運ばれてくれば診断し、必要に応じて手術を行った。

「現地に入った医療スタッフたちはもっと大変なわけですから、離れた金沢に居るからこそ果たせる役割を僕たちはやる。医局のスタッフもみんな『自分たちができることはやる』という思いで黙々とやっていました」

改めて災害時に各所で役割を果たす医療関係者の偉大さを感じるばかりだ。
最後に受験生に向けて「やっぱり、一生懸命になることです」と語ってくれた。

一生に一度に向き合い、一生懸命であるために、日々、基本を高める。

金沢医科大学舘先生
金沢医科大学外観
金沢医科大学

掲載冊子

こちらの記事掲載冊子は「私立医科大学受験ガイド2025」です。

※2024年6月時点の取材内容

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金沢医科大学医学部特待生制度

一般選抜(前期)合格者の中から、人物、成績共に優秀で入学者選抜成績上位の方を対象とした制度です。
初年度の入学金を除く、学納金等450万円(授業料、設備更新費、教育充実費)を免除します。

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