医学部受験情報サイト

医療人を志す人が集まる場所

私立医科大学受験のアレコレ“マインドマップ” – ① 医学部入試を取り巻く現況 編

私立医科大学受験のアレコレ“マインドマップ” – ① 医学部入試を取り巻く現況 編

私立医学部受験に向けて、そもそも知っておくことって何だろう?

医学部受験を取り巻く現況は?
国立大学とのからみは?
入試のシステムは今後どう変わる?

受験科目の対策以外にもいろいろと知っておくべき情報はありそうだ。
そこで教育雑誌・ルートマップマガジン編集部編集長の西田浩史氏を進行役に、小論文書籍も多数執筆を手掛けるグラダス教育総合研究所所長の中塚光之介氏を迎え、私立受験の現況とポイントについてマインドマップに落としながら、整理してみた。

マインドマップ 対談画像

【mind map】「親子で知るべき」医学部入試を取り巻く現況

mindmap 医学部入試を取り巻く現況 本データ
PDFで開く

もはや国立と私立の差はなくなってきた?
先入観をなくし情報をアップデート

2025年度入試から共通テストが変わる

西田浩史(以下、西田)氏 さて、今回「私立医学部受験」について、マインドマップを描きながら整理をしてみようという企画なのですが、どこからマップを始めようか悩むところですね、、、まずは2年後の2025年度入試から共通テストが変わることは大きいと捉えています。いまの高校2年生からが対象になります。

中塚光之介(以下、中塚)氏 新課程対応が始まり、科目の内容が変わるという点ですね。

西田 「情報」が増え、「地歴公民」や「数学」「理科」も内容に変更があります。私立医学部も共通テストを併用する大学も多いので、影響は出てきます。

中塚 でも英・数・理はさほど変更はないでしょう? 影響がありそうなのは地歴公民の「地理」でしょうか

西田 そうですね。「地理」で受ける人は一定数いますからね。私立医学部では「地歴公民」を受験科目に使用する大学もあります。

中塚 国立大志望組だけの話ではない?

西田 はい。こうした変化の中では国立大を敬遠して私立大に流れてくる人が増えるでしょうから、私立医学部の入試は難化するでしょう。

中塚 20年ぐらい前は私立医大受験者が増えてバブルの状態があったと思いますが、ここ5年ぐらいは落ち着いています。今日の受験生の数が減る中では競争率はあまり変わらない可能性も考えられませんか?

西田 そうですね。ただ、5年ぐらい前から国立大と私立大は受験生が別々というよりも、「一体型」になっています。バブル期を経て私立大の偏差値は上がり、近年では学費も下がっていますし、国立大と私立大の差が少なくなってきています。例えば、6年間で支払う学費が約2,000万円という私立医学部があります。奨学金なども活用すれば、さらに抑えることもできるでしょう。

中塚 奨学金もそうですが、地域枠入試も増えてきています。家賃など生活費も含めたトータルコストで考えれば、その差がもっと小さくなる可能性もありますね。もちろん、立地や住居にかかる費用などにもよりますが、そう考えると、大学の選択肢も広がってきますね。

西田 そうなんです。今まで私立大受験を諦めていた人も受験しやすくなります。ぜひ保護者の方にも「共通テストが変わる」ことと「私立医学部受験」がリンクしていることを知っておいていただきたいですね。昔のように、「私立大は高い壁」ではなくなってきています。

mindmapホワイトボードに書いています

私立大OB/OGのネットワークが充実

中塚 そうなると、ますます大学それぞれの特性が選択の鍵になってきますね。

西田 そうですね、大学のカラーというか、校風がポイントになってくると思いますが、私立医大というと「同窓会」の強さは感じています。

中塚 入学後・卒業後にかかわることですね。

西田 私立大学の医学部医学科は、もともと歴史の古い旧7帝国大があった中で、地域医療を担う医療の専門学校としてスタートした背景があります。

中塚 単純に考えると、歴史が古い方が卒業生も多く、ネットワークも強固になりますよね。

西田 おっしゃる通りです。

中塚 戦後の人口増に伴う医療需要の拡大を図る目的で1970年代に始まった新設医大では、30年くらい前までは教授として他大学の有名教授を招聘したりしていましたが、設立から50年経ったちょうどいまは、その大学の卒業生が教授や准教授になったりしています。

西田 さらに近年では、私立医大の偏差値も上がり、卒業生も充実してきて同窓会(横の繋がり)は強くなってきています。

中塚 そうですね。その卒業生の教授たちが中心となっていくことで、よりその大学の個性を打ち出しやすくなります。

西田 私立医大の場合「いかに国立大との違いをアピールできるか」をよく考えていますので、OB/OGネットワークがどれくらい充実しているかが、今後の差別化にもつながってくるでしょうね。

中塚 こうした視点は、受験生や保護者の方々にはあまり意識されていないかもしれませんね。

西田 それと、これは特に総合大学に言えることですが、他学部の同級生同士が卒業してからもつながりがあることが大きな強みだと感じています。

中塚 具体的にはどんなことでしょう?

西田 そうですね。例えば将来、クリニックの開業や医療技術でベンチャー企業を立ち上げようといったときに、他学部の同級生の中で税理士や弁理士として活躍している人がいれば気軽に相談できるなど、医療外の領域とのパイプを持てるというメリットは大きいと思います。

中塚 それはとても心強いですね。あとは「医療連携」もありますよね。これは在学中のメリットの方が強いかもしれませんが、例えば看護や薬・歯などとの学部合同実習などがあり、在学中からチーム医療に触れられる、というのは大きなポイントかもしれません。

西田 たしかに「チーム医療」は今や不可欠ですよね。

中塚 となると、単科大学の場合は何か特徴はありますか?単科大学でももちろん「医療連携」には力を入れていて、提携している他大学との合同実習をプログラムしていますよね。

西田 ひとつ特徴としてあげたいのは研究室の多さとその多彩な研究テーマですね。国立医大との差別化をしっかりと考えています。そのため、他ではみられないような多彩な研究室があったりするのが特徴です。

中塚 差別化というところはよくわかります。自学の存在価値を示すために、国立医大ができないことをやっていこうという機動力と瞬発力があると思いますね。

西田 確かにそうですね。

中塚 あと単科大学は国家試験の合格に向けて、研修医や現役医師の先輩たちがかなり力を入れて指導していますね。

西田 伝統みたいなところがあって、合宿形式で勉強を見てあげる大学もあるようですね。

中塚 先にも言いましたが、1970年代に新設された私立医大は、この50年の歴史の中でたくさんの卒業生を輩出し、ほぼ全世代の医師が揃ったと言えます。それによって同窓会のネットワークがしっかりしたものになってきたので、より大学のカラーや個性が見えやすくなってきていますよね。

西田 こうした点を考慮しながら、受験生および保護者のみなさんは大学選びを進めていただければと思います

中塚 そうですね。そうすると視野が広がり、選択肢が増えていくのではないでしょうか。

>>> 第2弾「志望理由書・小論文・面接のポイント」は、近日公開予定!

Profile

中塚 光之介
Konosuke Nakatsuka

中塚先生プロフ

ルートマップマガジン社 グラダス教育総合研究所 所長、河合塾講師、大正大学専任講師。大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、2003年から河合塾小論文科講師(医系小論文、AO・推薦対策などを担当)。これまでに指導した生徒は約35,000人にのぼる。他、医系テキスト、全統医進模試プロジェクトを担当。主な著書に『採点者の心をつかむ 合格する看護・医療系の小論文』『採点者の心をつかむ 合格する小論文のネタ[医歯薬/看護・医療編]』(いずれも、かんき出版)など。今年3月上旬、『採点者の心をつかむ 合格する小論文のネタ[社会科学編]』(かんき出版)が新刊。
※肩書きは2023年6月取材時のもの

西田 浩史
Hirofumi Nishida

西田さんプロフ

追手門学院大学客員教授、ルートマップマガジン社取締役。2016年 ダイヤモンド社『週刊ダイヤモンド』記者(学校・教育産業担当)、学習塾業界誌の私塾界『月刊 私塾界』記者、塾と共育社『月刊 塾と教育』記者。追手門学院大学アサーティブ研究センター客員研究員を経て20年から現職。『東洋経済オンライン』『ダイヤモンドオンライン』『週刊東洋経済』『週刊ダイヤモンド』『サンデー毎日』『週刊エコノミスト』『週刊朝日』など週刊誌へ医学部関連記事の寄稿多数。著書に『医学部&医者』(週刊ダイヤモンド 特集BOOKS ダイヤモンド社)など。全国5,000塾、約20,000人を取材。
※肩書きは2023年6月取材時のもの

掲載冊子

こちらの記事掲載冊子は「私立医科大学受験ガイド2024」です。

※2023年6月時点の取材内容

掲載冊子をお求めの方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
数に限りがございますので、在庫状況により、ご希望に添えないことがございます。
あらかじめご了承ください。
お問い合わせフォームへ

TOP