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メディカル用語集

か行

共用試験

医学生が臨床実習に進む前(4年次)と、臨床実習の修了後(6年次)に、全国の医学部で同じ基準で実施する試験のこと。「医療系大学間共用試験実施評価機構」という組織が実施する。
4年次の臨床実習開始前に実施する共用試験は、臨床実習に参加するために十分な能力を身につけているかを判定する。CBT(Computer Based Testing)とOSCEがある。CBT(Objective Structured Clinical Examination)はコンピュータから出題される問題を回答していくもので、知識の修得を判定する。OSCEは模擬患者さんへの実技試験で、診察の技能と患者さんへの対応を判定する。この両方に合格したうえでスチューデント・ドクターとして臨床実習に進むことができる。
臨床実習前の共用試験は2023(令和5)年度から公的化され、スチューデント・ドクターが指導医のもとで患者さんに医療行為を行える能力を保証するものとなった。
6年次の臨床実習終了後の共用試験ではOSCE(Post-CC OSCE)が行われ、大学を卒業して臨床研修を開始する臨床能力を修得したかを評価する。
学生は自分の大学で共用試験を受験するが、試験監督者や外部評価者として、他大学の教員も医療系大学間共用試験実施評価機構から派遣され、公平な実施・評価がされる。

研究室配属

医科大学によるが、リサーチマインド(研究マインド)の醸成を目的に、医学研究の基礎を身につけるため、研究室配属を行うこと。3~4年次で行うことが多い。
基礎研究の講座に1カ月から数カ月所属して、指導を受けながら実験の手法や研究のプロセスを体験し、成果を論文やポスターにまとめて発表する。希望する学生はさらに研究を続けられる場合もある。
また必修科目とは別に、課外学習や選択制で研究を体験するプログラムを設ける大学、特に研究医目指す学生に向けて、複数年次にわたる研究医養成プログラムを設ける大学もある。

さ行

診療参加型臨床実習・クリニカルクラークシップ

医学生の臨床実習で、医学生が実際に患者さんの診療に参加しながら、指導医のもとで能動的・実践的に臨床技能と患者さんへの対応を学ぶスタイルのこと。
国際認証のカリキュラムの導入により、医師の診療を見学して説明を受ける見学型の実習から、より実践的な臨床能力の修得を目指して、診療参加型実習が促進されるようになった。
これを後押しするため医師法が改正され、共用試験に合格してスチューデント・ドクターとなった学生は、指導医の指導監視のもと、一定の範囲内での医行為を行うことが許容されると明記された。

選択実習

臨床実習の後半に行うもの。前半のローテーション制の実習に対して、選択実習では学内はもとより、学外や海外の大学や施設でも、希望する診療科やプログラムを学生が選択することができる。
1診療科を4週間程度の期間で、これまで身につけた臨床能力のさらなる向上を目指して研鑽を深める。アドバンストクリニカルクラークシップ(Advanced Clinical Clerkship)とも呼ばれ、多くの大学で6年次に選択実習を設けている。

早期臨床体験実習

医学部1年から3年くらいの低学年次に、大学病院や地域のクリニック、介護施設など実際の医療現場を体験する実習のこと。
例えば大学病院では、外来や病棟で医師の仕事を知る。ナースステーション・薬剤部・リハビリ・検査などの部門を体験・見学し、病院の機能と多職種連携を知る。そのほか夜勤実習や外来の患者さんに付き添う実習などがある。地域の施設では、介護の体験や地域医療の現状を見学する。他にも各大学で特色を出した様々なプログラムがある。
入学後の低学年から、段階的に医療現場で実習を行うことで、医学生としての自覚を促す、医師像の目標をもつ、講義の学修を臨床に結び付けてモチベーションを高めるなどの目的で行われる。

ま行

モデル・コア・カリキュラム

「医学教育モデル・コア・カリキュラム」とは、医学部で学修すべき内容が医学や技術の進歩により、膨大なものになってきたなかで、「すべての医学生が6年間で身につけておくべき必須の診療能力(知識・技能・態度)」というコアとなる学修目標を記載したもの。
この「医学教育モデル・コア・カリキュラム」は、文部科学省が策定するが、これをもとに、各大学で医学部のカリキュラムを編成している。
各大学医学部のカリキュラムは、学修時間数の3分の2程度がこれに基づいて設計される。そして残りの3分の1程度は、例えば、チーム医療・地域連携・他学部や他大学との連携・情報・研究など、各大学が独自に特色を出したカリキュラムを開発している。
最新のモデル・コア・カリキュラムは2022(令和4)年度に改訂されたもので、2024年度の入学生から適用された。最新版では、人口減少地域の増加、高齢化率の上昇、新興感染症・災害リスクの増大、新たな科学技術の台頭といった、「現在の医学生が医師として活躍する未来を想定した医師の養成」を目指している。

ら行

リサーチマインド・研究マインド

医師のリサーチマインドとは、患者の病態を的確にとらえ、科学的に分析し、EBM(Evidence-Based Medicine=根拠に基つく医療)を実践すること。また、そのエビデンスをつくり出す臨床試験に積極的に取り組むことである。
医学は日々進歩しており、医師は最新の知識・技術を生涯にわたって学修することが必要である。研究医はもちろん、臨床医であっても臨床現場や患者さんの診療のなかで、病気の原因や治療法などについての疑問を常に意識し、論文を調べたり、自ら研究をして論文を書いたりすることは重要である。医学部教育においてもこのリサーチマインドを醸成するために研究の基礎や研究室配属を取り入れている。
医学教育モデル・コア・カリキュラムで、医師に求められる基本的な資質・能力10項目のなかに「科学的探究」がある。「医学・医療の発展のための医学研究の重要性を理解し、科学的思考を身に付けながら、学術・研究活動に関与して医学を創造する」とうたわれている。

臨床実習・ベッドサイドラーニング(BSL)

病院・医療機関で実際に臨床経験を積む実習のこと。4年次後半から6年次前半にかけて実施される(早期臨床体験実習を臨床実習に含める場合もある)。
ほとんどの大学では4年・5年次(前半)くらいにかけて、大学病院の多数の診療科を、1診療科1~3週間ずつローテーションで回る。実習は少人数で、入院病棟・外来での診療、手術見学、カンファレンス(症例検討会)に参加。またクルズス(少人数セミナー)などを行う。
そのあと6年次(あるいは5年次後半から)は選択実習で、各学生の進路や希望に応じて診療科を絞り、1診療科4週間程度の重点的な実習を行う。学外の病院・施設や海外での実習も可能。
国際認証カリキュラムの導入により、以前の見学型の実習から、診療参加型臨床実習(クリニカルクラークシップ)へと移行している。また指導医のもとでの学生の「医行為」も医師法で認められたため、今後はより実践的な実習が促進される。
臨床実習の期間は大学によって異なるが、従来の平均50週(2009年)が、国際的な基準に合わせて、72週くらいまで拡大してきている。

A – D

CBT

4年次の臨床実習開始前に行う共用試験はOSCEとCBTがある。CBTは臨床実習を行うにあたり、十分な知識を修得しているかを判定するもの。
人体や病気の基本的知識、病気のメカニズム、診断や治療などについての問題が、コンピュータから選択式で出題され、それを次々に回答していく。320問が出題され回答時間は6時間。コンピュータに蓄積された問題がランダムに出題され、その組み合わせは受験者によって異なるが、難易度は同じになるように保たれている。

M – P

OSCE

OSCEは共用試験として、臨床実習の開始前(4年次)と、終了後(6年次)に実施される実技試験。「オスキー」と呼ばれる。客観的臨床能力試験のこと。
4年次の臨床実習開始前に行うOSCE(Pre-CC OSCE)は、臨床実習で患者さんの診療に参加できる臨床能力「技能・態度」を修得しているかを判定する。このOSCEでは、医療面接、頭頚部・腹部・神経の診察など、課題ごとに試験室(ステーション)が分かれている。受験者はこれを順番に回り、模擬患者やシミュレーターに対して、出題された課題を5分、10分の制限時間内で行う。技能だけではなく、患者さんに配慮して診察をしているか、マナーも評価される。
6年次の臨床実習終了後に行うOSCE(Post-CC OSCE)は、学生を卒業させて良いか、臨床研修を開始できる能力を修得できているかを判定する。このOSCEでは、診察や診断などの基本的臨床能力を総合的に評価する。模擬患者に対して、医療面接、診察、鑑別診断、指導医への報告までの一連の診療のシミュレーションを6課題(原則)行う。
従来は臨床実習の前だけであったが、医師国家試験には実技が含まれていないこともあり、2020(令和2)年度から正式にPost-CC OSCEも実施されることになった。
OSCEの評価は、実施大学と他大学の複数の評価者と、模擬患者からの評価も合わせて判定される。

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