イントロ
原作は『BE・LOVE』(講談社)にて2011年から2018年まで連載された、日生マユ(ひなせまゆ)による医療漫画。主人公は、産休の養護教諭の代わりに産休補助教員として小学校の保健室を預かることとなった牧野。彼は赴任する前までは帝都大学附属病院の小児科医だったが、愛想の無さと口のきき方の悪さ、態度の大きさを問題視されていた。そのため、学校に専門医を試験配置することを決定した医師会からの要請という口実で、小学校に異動させられたという背景をもつ。子ども達の未来を守る最後の砦たる保健室を舞台に、小学校に赴任した仏頂面の「学校医・牧野」が、類稀なる観察眼で異変を見抜き子供達と父兄を救ってゆく物語。
原作をベースに、2024年10月より日本テレビ系列にてテレビドラマが放送中。ドラマでは、小児科医の牧野を松下洸平が演じ、「学校医」として東多摩第八小学校に赴任した場面から始まる。医師を学校に常駐させるという新たな試みで大学病院から送られた、口も態度もでかい小児科医・牧野が、その観察眼で「言葉にできないSOS」を見抜き、未来へ向かう子ども達の背中を押す保健室ヒューマンドラマとなっている。
監修
伊藤健一郎
みらいこどもクリニック 院長
金沢大学医学部医学科卒業
海老島宏典
東京大学医学部附属病院小児科 助教
東北大学医学部 卒業
山形知慧
東京大学医学部附属病院小児科 助教
東京大学医学部 卒業
キーワード
学校医
集団生活をするうえで必要な感染症対策や、病気を予防するための環境整備について、学校長に指導と助言を行う医師のこと。児童や生徒への定期的な健康診断をはじめ、学校行事の際には、事故を未然に防ぐための健康チェックや健康相談を担います。学校歯科医や学校薬剤師、養護教諭と連携して、学校全体の健康を守るのが仕事です。
誤解されがちだが、養護教諭、いわゆる「保健室の先生」の主な仕事は保健指導、救急処置、健康相談、精神的ケアなどで、養護教諭一種免許状・養護教諭二種免許状・養護教諭専修免許状のいずれかを取得することで就ける職業です。一方の「学校医」は、医師免許を取得した医師のみに資格があります。
学校医は、教育委員会の求めを受けて地域医師会が紹介・推薦することで決まります。基本的には内科・耳鼻科・眼科・小児科等のクリニック開業医から任命されることが多いとされています。
今回のドラマの設定は医師会の試験配置ということだが、もし医師を学校に常駐させようとすると、設備面や待遇面で病院勤務よりいい報酬が必要です。そのため、常駐の学校医がいるという状況は、かなり特殊なこととなります。
養護教諭(保健室の先生)
養護教諭とは、在学生の心身の健康を管理する学校職員のことで、いわゆる「保健室の先生」。校内での在学生の怪我や疾病等の救急処置や、保健指導、健康相談などをはじめ、身体測定や予防接種などの保健計画や保健室の管理運営を担当します。また、応急処置を施した際は、医療機関受診の必要の有無の判断も行います。
養護教諭になるためには、養護教諭免許を取得する必要があります。養護教諭免許は一種免許と二種免許があり、一種免許は「養護教員養成課程のある大学」で、二種免許は「養護教員養成課程のある短大や専門学校」で、それぞれ必要な単位を取得しなければなりません。また、私立学校の養護教諭を目指す場合は、学校の採用試験を受け、公立学校の養護教諭を目指す場合は、各都道府県の教員採用試験に合格する必要があります。
なお、医師免許と養護教諭免許を両方取得することは可能ですが、医学部と教育学部(養護教諭養成課程)の両方の単位を取得する必要があり、大変難しいハードルとなります。そもそも医師免許が取れるならば医者として働く方がよく、「医師免許を持っている保健室の先生」は非現実的であり、「学校医」と区別が必要です。
次回予告
Part 2ではドラマ内で扱われた病気について詳しく見ていこうと思います。乞うご期待ください。
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