[研究成果のポイント]
・妊娠中に夕食後の間食や夜食の頻度(以下、夜間の間食頻度)が週3回以上の妊婦は、週1回未満の妊婦と比較して、産後うつ病疑いと判定された割合が高かった。
・夜間の間食頻度が高いほど、豆類、野菜類、魚介類の摂取量が低い傾向であり、総エネルギー摂取量、果物類及び菓子類の摂取量が高い傾向であった。
[研究成果の概要]
妊産婦のうつ病(周産期うつ病)は、妊産婦の7人に1人が患うと推計されています。産後うつ病は産後4週間以内に発生する可能性があり、女性にとって重要な健康課題となっています。夜間の間食頻度が高いことは、肥満や抑うつ症状のリスクとなることが報告されています。しかし、これまでに妊娠中の夜間の間食頻度と産後うつ病の関連については、検討されていませんでした。
本研究は、2019年7月~2022年7月に江別市在住の妊婦609人を研究対象として妊娠中の週当たりの夜間の間食頻度、食品群別摂取量及び産後うつ病を評価しました。
結果として、妊娠中に夜間の間食頻度が週3回以上の人は、週1回未満の人と比較して、産後1か月以内の産後うつ病疑いの割合が高かったことが明らかになりました(調整オッズ比と95%信頼区間:2.81, 1.13-6.96)。更に本研究では、妊娠中に軽度の抑うつ症状が認められた人を解析から外した場合も同様の結果が得られました(調整オッズ比と95%信頼区間:2.59, 1.14-5.86)。
加えて、夜間の間食頻度が高い人では、豆類、野菜類、魚介類の摂取量が低い傾向であり、総エネルギー摂取量、果物類及び菓子類の摂取量が高い傾向が明らかになりました。夜間の間食頻度や量を減らす(エネルギーを摂り過ぎないように注意する)ことは、産後うつ病の改善に役立つ可能性があります。論文は3月3日に国際学術雑誌European Journal of Clinical Nutrition電子版に掲載されました。
[研究の意義]
妊娠中は食欲不振の時期もあり、間食などで栄養をとることが必要な場合があります。仕事や家事が忙しい場合は、夕食後に間食をとることもあると思います。理由ははっきりわかっていませんが、妊産婦以外を対象とした研究においても、夜の過剰なエネルギー摂取がうつ病のリスクになることが報告されています。夜間の間食頻度や量を考えて摂取することは、妊産婦の健康増進に寄与する可能性があります。
今回の研究結果は、産後うつ病のリスクが高い妊婦の早期発見や母子保健に関する施策の立案に役立てられることが考えられます。産後うつ病は、出産した後の子どもとの関係にも悪影響を及ぼすことが報告されており、母の健康と子どもの健やかな成長のためにも、産後の女性の精神的健康に対するケアは重要です。
一方で、今回の研究対象は小規模な集団であること、夕食後の間食や夜食については、週当たりの頻度のみで評価していることから、夜間の間食で何を食べているのかは明確になっていません。今後はより詳細な食事調査や実際に夜間の間食頻度が高い人の生化学的データを取得するなど、詳細な調査による追加の研究が必要と考えます。
[発表論文]
Tohru Kobayashi, Reiji Kojima, Emiko Okada. Association between night-time snacking during pregnancy and postpartum depression among community-dwelling pregnant women: a prospective cohort study. European Journal of Clinical Nutrition. https://doi.org/10.1038/s41430-025-01592-3
[謝辞]
本研究の実施にご協力いただきました江別市保健センターの職員の皆様並びに研究参加者の皆様に心より深く感謝申し上げます。本研究はJSPS科研費19K19465の助成を受けて実施しました。
▼本件に関する問い合わせ先
農食環境学群 食と健康学類
准教授 小林 道
住所 : 北海道江別市文京台緑町582番地
TEL : 011-388-4728
FAX : 011-388-4728
E-mail : tkoba@rakuno.ac.jp
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データ提供:大学プレスセンター
【酪農学園大学】 酪農学園大学小林道教授らが、妊娠中における週当たりの夜間の間食頻度が産後うつ病に関連することを明らかにしました。